田楽

今日はおでん、仕事が終わる前からそういう気分だった。
家に荷物を放り込んでおでんやへ。
この街でおでんやと言えばこの店、というくらい有名な一軒。
この店は俺が酒を覚えた店で、マスターはもう兄貴みたいなものである。
今は交通事故に因る怪我のリハビリ中で、奥さんが店を仕切っている。

関西風の薄味の出汁なので野菜が美味い。
今日は春先らしく筍と蕗から。
手作りのゆず味噌を乗せて食べる、春はやはりこれを食べないと。

ビールから日本酒に変えて、次は春菊と豆腐。
日本酒の仕入れが変わって、俺の好きな鷹勇純米吟醸なかだれが入らなくなったそうだ、残念至極。
まあ、鷹勇は比較的手に入り安いから良いだろう。
そしてがんもどき、手作りのがんもどきはふんわりとしていてとても美味い。
ふう、4杯くらいも飲んだかな。
ここに来るといつも飲み過ぎてしまう。

そして締めには、あぶそば。
油揚げの中にそばの入ったやつ。
これを食べないとこの店に来た意味が無い。
ふう、満足々々。

なのになんでこの男はもう一軒寄ってるかな！

ちょっとはずれの方にオープンしたばっかりの小洒落た店。
座敷は全部埋まってるようだがカウンターがらがら。
ドリンクメニューを見る、酒の種類が寂しい限り。
焼酎も3種類か。
そーゆー店に限って「ウチは厳選したものだけを置いていますから」とか言い訳しやがんだよな。
突出しは穴子豆腐、しっかし薄っぺらい穴子だこと。
穴子一枚剥がして口に入れて、味も大したことが無いことを確認。
ロックで2杯ほど飲んですぐ終わる。

金にならねえ客と思われたろうな。
ご心配なく、もう2度と来ませんよ。
ネタケースの中の溶けたような雲丹見ちゃったら、
とても他の物も食べたいとは思いませんので。