北国

2003年7月12日
前回のタイトルが南国で今回は北国かい?
まったく持って落ち着きのない奴だな。

てな訳で今回は北の国からの国(訳わからん)、湿原と炉ばたの街から。
夏の出張の度に寄る機会があるので、この街をうろつくのは4回目くらいになるかな。
フリーになった時間が遅くて銀行が閉まってしまったので、仕方なくカードでキャッシング。
財布に実弾を装填する。

前回の出張では上司から逃げられず、表通りの大きな居酒屋で花咲蟹だなんだと食い散らかした記憶があるが今日は一人だ。
つむじ曲がりの性か、裏通り裏通りと歩を進めて見つけた一軒の店。
引き戸を開けると4人掛けの長いすが二本あるだけの、カウンターだけの店。
メニューはおでんと、直角に曲がったカウンターの角にある炉で焼かれるであろう焼き物、それと冷奴などの簡単な物のみ。
良いっ!
一人で飲むのにはもってこいの店だ。
期待が膨らむ。

瓶ビールとおでんを3品、根曲がり竹、棒天、巾着を注文し、物静かに食う。
先客は常連らしく、店のお母さんと話が弾んでる。
新参者の俺が気になったのか、程なくして勘定を済ませて帰っていった。
唯一の客となった俺は黙って飲んでいる訳にもいかず、店のお母さんと話をすることとなった。

そこからは凄かった。
店のお母さんは実は広島の出身でローカルな話題で盛り上がる。
さらにこの店で出してるお酒は俺の住んでる所から一分くらいの所に本社があったりという話をする。
そうこうしてる内にお客さんが2人、3人とやってきて狭い店内はたちまち喧騒で溢れた。

東京の銀行から出張で来た人達、地元の人達。
2坪ほどの小さな店でくだらない話から、真面目な話まで大いに盛り上がった。
旭川の人口の半分は実は熊だとか、この店はこれ以上客が来たら長椅子に横ではなく縦に座って背中と腹をくっ付けて座るんだとか。
小さな店の中は笑い声に溢れ、今日初めて会った人達と何度となく杯を合わせた。
普段飲まない某メーカーの酒もこうして飲むと美味いものだ。

宿に戻る気力だけを残して酒を飲み、後々、思い起こしてこれを書いている。
そして思う。
楽しかった、必ず次もここに寄ろうと。
いつになるか分からないが、ここに来たときに帰る所ができた。
そんな感じがする。


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