執念

2004年7月17日
さあ最後の仕事の地、蛍烏賊と白海老の国だ。
この国には前々から来たかったんだ。

仕事が終わったのは7時半、しかも街中から遠く離れた場所で。
止めてくれるな、俺は行かねばならないんだ。

タクシーで15分ほど離れた駅へ飛ばしてもらう。
一緒に乗った同僚らはそこで飲み屋を探すという。
俺は更にこの国の都へ行くべく電車に乗り旅に出たのだった。

時間にして20分弱。
既に8時半も近い。
一分一秒のためにタクシーに飛び込みワンメーターの距離を急いでもらう。
無線で店の位置を聞いてもらい、目の前に停めてもらい1000円札を押し付ける。
来たぜ、この店のことを知ってから何年待ってたことか。

暖簾をくぐると、落ち着いた感じの店内。
さあ酒を飲もうって気が湧いてくる。

まずどれくらい飲まれますかと聞かれる。
今日はまだ一滴も飲んでないので日本酒からはじめれば四合は飲めますというと、四合はお出ししませんときっぱりいわれる。
三合と少しで地の酒を色々お出ししますと言われ、それでお願いする。

料理の方も地の物を中心に。
ざる豆腐、ふくらぎの刺身とさすの昆布〆、白海老の天麩羅、すりみ揚を注文する。
一杯目の酒は黒部峡、結構すっきりしてる。
ざる豆腐が届く。
美味い豆腐だ。
ごまだれで食べる大豆の味の濃い豆腐はすっきりした酒に良く合う。

ふくらぎはブリになる一個前、さすはカジキの事だそうだ。
実はあまり脂の乗ったブリは刺身より焼いた方が好きなんだが、このふくらぎは美味い。
さすの昆布〆はねっとりと柔らかく昆布の旨味が良く出てる。

二杯目の酒は富美菊。
黒部峡に比べてかなり色が濃い。
色は濃いが結構すっきりとした味だ。

白海老の天麩羅はぜひ食おうと思ってたものだ。
柔らかい海老をさっくりと掻揚げにしてある。
うーん、これは他の食い方もしてみたかったなあ。
今日は天麩羅しかないのが悔やまれる。

三杯目はここのオリジナル。
今年の新酒だそうだ。
うーん、結構酸が強い。
その割りに後味に酸を感じない。
癖が強い酒だがこれははまるな。

すりみ揚は考えていたさつま揚げのようなものではなく、ふんわりとしたはんぺんのような口当たりで酒のあてに最適。

四杯目、ここのオリジナルの2年熟成。
驚いた、結構強かった酸がこんなに丸くなるのか?
その代わり引きが強く感じた。
別もんだぜ、これ?

大分酔ってきたが、気を張って飲む。
後ろで飲んでるどっかで飲んできた医者どものように途中で酒を止められてはたまらん。

そして五杯目。
この店のもう一つのオリジナル。
ワイン樽熟成させた酒は今まで何度か飲んだ事はあるが、この酒は驚いた。
今まで飲んだのは酸の強く出たワインのような感じだったがこの酒は、モルトウイスキーだ。
吟醸酒にして熟成酒。
参りました。

勘定もものすごく安く非常に満足した。
本当にそんなものでいいのかって感じの値段だった。

さあこの感動を忘れないうちに塒に戻ろう。
とりあえずコンビニで金を下ろして、って、俺のメインバンクは10時までかよ。
下ろせねえじゃん。
普通に帰れるだけの金は持ってるが、なんかあったら困るし仕方なくキャッシング。
給料出てんのになにやってんだか。

駅について時刻表を見る。
ついぞさっき出たばっかり。
はいはい、こういうことは慣れっこですよ。
次の電車が最終で約1時間後。
コンビニで雑誌を2冊かって時間つぶし。
他に行く所も無く、駅のホームのベンチで雑誌を読んで待つと、霧雨のように降っていた雨が突如強くなってきた。
と思う間も有らばこそ、何じゃこりゃ滝か?
しぶきがホームのベンチまで届き、座ってられないので階段のほうへ避難。
おいおい電車止まったりしねえだろうな。
この雨が新潟に被害をもたらした豪雨の片鱗だろうな。

幸いなことに電車は止まることなく、また乗り過ごす事も無く降り立った。
我ながら無茶な事やってんなあ、今日は大人しく帰ろうか。

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